※注意
記載されているのは令和2年調剤報酬改定によるものです。
令和4年度版は現在作成中であるためしばらくお待ちください。
目次
- 地域支援体制加算について
- 地域支援体制加算とは?
- 地域支援体制加算の要件について
- 調剤基本料1を算定している薬局
- 調剤基本料1以外を算定している薬局
- 共通要件
- 1.保険調剤に係る医薬品として1200品目以上の医薬品の備蓄
- 2.当該薬局のみで(または近隣の薬局と連携して)24時間調剤および在宅業務に対応できる体制
- 3.初回処方箋受付時に患者またはその家族に連絡先等情報を説明・文書にて交付・薬局の外側に掲示
- 4.24時間調剤・在宅業務に対応できる体制の周知
- 5.患者ごとの薬歴の記録、薬学的管理、必要事項の記入、必要な指導
- 6.平日は1日8時間以上の開局、土日いずれかに一定時間以上の開局、週45時間以上の開局
- 7.管理薬剤師は以下の要件をすべて満たす
- 8.在宅患者訪問薬剤管理指導の届出・体制整備・周知
- 9.調剤従事者等の資質向上(定期的な研修の実施、学会への定期的な参加・発表)
- 10.医薬品安全情報への対応(PMDAメディナビに登録)
- 11.医薬品情報の提供体制の確保
- 12.患者のプライバシーへの配慮(パーテーション等で区切られた独立したカウンターを有するなど)
- 13.一般用医薬品(OTC)の販売
- 14.地域住民の生活習慣の改善、疾病予防に資する取り組み
- 15.健康相談または健康教室を行っている旨を薬局の内外に掲示・周知
- 16.医療材料および衛生材料の供給体制
- 17.在宅療養の支援に係る診療所・病院・訪問看護ステーションとの円滑な連携
- 18.ケアマネージャー・社会福祉士等の他の保健医療サービス・福祉サービスとの連携
- 19.薬局機能情報提供制度において、「プレアボイド事例の把握・収集に関する取組の有無」を「有」として直近1年以内に報告していること
- 20.副作用報告に係る手順書を作成し、報告を実施する体制を構築
- 21.処方箋集中率が85%超の場合は、後発医薬品の使用数量の割合が50%以上であること
- 22.前年3月1日から当年2月末日までの実績をもって施設基準の適合性を判断し、当年4月1日から翌年3月末日まで所定点数を算定できる 常勤薬剤師数は、前年12月1日から当年1月末日までの勤務状況に基づき算出
地域支援体制加算について
「地域支援体制加算って要件が多すぎてよく分からない・・・」
調剤基本料の算定要件は年々厳しくなっています。
国の方針としては、地域に根付いた薬局象が求められているため、特に地域支援体制加算を算定するためにはかなりの薬局側の努力が必要となってきます。
具体的には、在宅業務、かかりつけ薬剤師、社外の勉強会への参加、薬局携帯、・・・などなど、大変な日々を過ごされている薬剤師さんが多いかと思います。日々お疲れ様です。
薬剤師さんの中には上司から言われるがまま仕方なくやっていて、何故そのような業務を求められているのかいまいち分からないといった方も少なくはないと思います。
今回は、地域支援体制加算を算定するためにはどのような要件が必要であるかについてまとめました。特に説明する必要の無さそうな部分は割愛しますが、分かりづらそうな部分について書いていこうと思います。
地域支援体制加算とは?
地域支援体制加算とは、地域医療に貢献している薬局が評価される加算となっています。
これは、調剤基本料に追加でもらえる点数であり、受付1回につき38点加算されます。
頑張っている薬局に対して与えられるボーナスの点数といったイメージでいいと思います。
※調剤基本料についての詳しい内容に関しては以下の記事をご覧ください。
地域支援体制加算は1回受付ごとに38点もらえるので、この加算が取れれば薬局側としては大きな利益となります。最近ではグループ会社などは調剤基本料がいい点数をもらえないような仕組みになっているため、地域支援体制加算を取って少しでも利益を上げたいという会社も少なくはありません。
地域支援体制加算の要件について
それでは、ここからは用件について見ていきます。
まず始めに、地域支援体制加算は「調剤基本料1」を算定しているか、していないかによって要件が異なります。
調剤基本料1を算定している薬局
まずは、調剤基本料1を算定している薬局です。
2.在宅患者薬剤管理(医療・介護)の算定回数 年12回以上(薬局あたり)
3.かかりつけ薬剤師指導料(包括管理料)の届出を行っていること
4.服薬情報等提供料の算定回数 年12回以上(薬局あたり)
5.認定薬剤師が地域の他職種と連携する会議に出席 年1回以上(薬局あたり)
上記の4つを満たす事(1〜3は必須)
1.麻薬小売店業の免許を受けていること
麻薬の調剤ができる体制が整っていることが要件です。
2.在宅患者薬剤管理(医療・介護)の算定回数 年12回以上(薬局あたり)
在宅の業務を年に12回以上行う事が必要です。
3.かかりつけ薬剤師指導料(包括管理料)の届出を行っていること
かかりつけ薬剤師指導料(包括管理料)の届出を行う必要があります。
かかりつけ薬剤師指導料の届出に必要な項目については今後改めて記事を書いていこうと思います。
4.服薬情報等提供料の算定回数 年12回以上(薬局あたり)
服薬情報提供料1、2の算定を年に12回以上行う事が必要です。
これは医療機関への情報提供などを行うことで算定できる点数です。
また、服薬情報提供料の併算定が不可となっている場合は、同等の業務を行えば1回として扱われます。
5.認定薬剤師が地域の他職種と連携する会議に出席 年1回以上(薬局あたり)
認定薬剤師が、地域の多職種と連携する会議に年に1回以上出席する必要があります。
出席した会議の名称や参加日などを届ける必要があります。
地域の他職種との連携する会議とは以下のような会議が該当します。
・介護保険法第 115 条の 48 で規定され、市町村又は地域包括支援センター が主催する地域ケア会議
・指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成 11 年厚生 省令第 38 号)第 13 条第 9 号で規定され、介護支援専門員が主催するサー ビス担当者会議
・地域の多職種が参加する退院時カンファレンス
調剤基本料1以外を算定している薬局
次に、調剤基本料1以外を算定している薬局です。
1.時間外等加算、夜間休日等加算の算定回数 年400回以上
3.重複投薬・相互作用等防止加算の算定回数 年40回以上
4.かかりつけ薬剤師指導料(包括管理料)の算定回数 年40回以上
5.外来服薬支援料の算定回数 年12回以上
6.服用薬剤調整支援料1および2の算定回数 年1回以上
7.単一建物患者が1人の在宅患者薬剤管理の算定回数 年12回以上
8.服薬情報等提供料の算定回数 年60回以上
9.認定薬剤師が地域の他職種と連携する会議に出席 年5回以上(薬局あたり)
1〜8:常勤薬剤師1人あたりの年間回数
9:薬局あたりの年間回数
上記の8つを満たすこと。
1.時間外等加算、夜間休日等加算の算定回数 年400回以上
時間外等加算、夜間休日等加算を薬剤師1人につき年に400回以上算定する必要があります。
2.麻薬調剤時の加算点数の算定回数 年10回以上
調剤料の麻薬加算の算定回数が薬剤師1人につき年に10回以上必要となります。
(薬剤服用歴管理指導料の麻薬管理指導加算ではなく、調剤料の麻薬等加算になります。)
麻薬の調剤を年に10回以上行う必要がある訳ですね。
3.重複投薬・相互作用等防止加算の算定回数 年40回以上
重複投与・相互作用等防止加算の算定が、薬剤師1人につき年に40回以上必要となります。
4.かかりつけ薬剤師指導料(包括管理料)の算定回数 年40回以上
かかりつけ薬剤師指導料(包括管理料)の算定が薬剤師1人につき年に40回以上必要となります。
基本料1とは違い、届出だけではなく算定の実績が必要となる訳ですね。
5.外来服薬支援料の算定回数 年12回以上
外来服薬支援料の算定が薬剤師1人につき年に12回以上必要となります。
6.服用薬剤調整支援料1および2の算定回数 年1回以上
服用薬剤調整支援料1および2の算定回数が薬剤師1人につき年に1回以上は必要となります。
7.単一建物患者が1人の在宅患者薬剤管理の算定回数 年12回以上
在宅の業務が年に12回以上必要となります。
この際、施設などで一気に複数人の在宅の算定はできません。
在宅患者訪問薬剤管理指導料の要件については今後また別にまとめていきたいと思っています。
8.服薬情報等提供料の算定回数 年60回以上
服薬情報等提供料の算定回数が薬剤師1人につき年に60回以上必要となります。
9.認定薬剤師が地域の他職種と連携する会議に出席 年5回以上(薬局あたり)
認定薬剤師が、地域の多職種と連携する会議に薬局あたり年に5回以上出席する必要があります。
出席した会議の名称や参加日などを届ける必要があります。
地域の他職種との連携する会議とは以下のような会議が該当します。
・介護保険法第 115 条の 48 で規定され、市町村又は地域包括支援センター が主催する地域ケア会議
・指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成 11 年厚生 省令第 38 号)第 13 条第 9 号で規定され、介護支援専門員が主催するサー ビス担当者会議
・地域の多職種が参加する退院時カンファレンス
共通要件
これまで、調剤基本料1を算定しているか、それ以外かで要件が違いましたが、ここからは共通項目となります。
つまり、これまでの要件をみたしていても以下の要件を満たしていなければ地域支援体制加算は算定できません。
また、それぞれ添付しなければならない書類などもありますが、厚生局で用意されている様式87の3という書類を確認すると、何を添付しなければならないかが確認できます。
2.当該薬局のみで(または近隣の薬局と連携して)24時間調剤および在宅業務に対応できる体制
3.初回処方箋受付時に患者またはその家族に連絡先等情報を説明・文書にて交付・薬局の外側に掲示
4.24時間調剤・在宅業務に対応できる体制の周知
5.患者ごとの薬歴の記録、薬学的管理、必要事項の記入、必要な指導
6.平日は1日8時間以上の開局、土日いずれかに一定時間以上の開局、週45時間以上の開局
・祝日および1月2〜3日、12月29〜31日が含まれる週以外の週の開局時間で要件を満たすか否か判断する
7.管理薬剤師は以下の要件をすべて満たす
・保険薬剤師として5年以上の薬局勤務経験
・週32時間以上勤務
・当該保険薬局に継続して1年以上在籍
8.在宅患者訪問薬剤管理指導の届出・体制整備・周知
9.調剤従事者等の資質向上(定期的な研修の実施、学会への定期的な参加・発表)
10.医薬品安全情報への対応(PMDAメディナビに登録)
11.医薬品情報の提供体制の確保
13.一般用医薬品(OTC)の販売
14.地域住民の生活習慣の改善、疾病予防に資する取り組み
15.健康相談または健康教室を行っている旨を薬局の内外に掲示・周知
16.医療材料および衛生材料の供給体制
17.在宅療養の支援に係る診療所・病院・訪問看護ステーションとの円滑な連携
18.ケアマネージャー・社会福祉士等の他の保健医療サービス・福祉サービスとの連携
19.薬局機能情報提供制度において、「プレアボイド事例の把握・収集に関する取組の有無」を「有」として直近1年以内に報告していること
20.副作用報告に係る手順書を作成し、報告を実施する体制を構築
21.処方箋集中率が85%超の場合は、後発医薬品の使用数量の割合が50%以上であること
22.前年3月1日から当年2月末日までの実績をもって施設基準の適合性を判断し、当年4月1日から翌年3月末日まで所定点数を算定できる
常勤薬剤師数は、前年12月1日から当年1月末日までの勤務状況に基づき算出
1.保険調剤に係る医薬品として1200品目以上の医薬品の備蓄
1200品目以上の医薬品の備蓄が必要となります。
2.当該薬局のみで(または近隣の薬局と連携して)24時間調剤および在宅業務に対応できる体制
24時間調剤体制、在宅業務調剤体制が設備されている必要があります。
近隣の保険薬局と連携して行う事ができますが、連携する場合は自局を含めて3つまでとされています。
3.初回処方箋受付時に患者またはその家族に連絡先等情報を説明・文書にて交付・薬局の外側に掲示
初回の処方箋受付時に、担当薬剤師と直接連絡がとれる連絡先や、緊急時の注意事項等について、患者またはその家族に対して説明の上、文書により交付する事が必要です。
24時間調剤体制を、近隣の薬局と連携している場合はその所在地等に関する情報提供も必要となります。
4.24時間調剤・在宅業務に対応できる体制の周知
24時間調剤ができる体制や、在宅業務に対応できる体制を整えておく必要があります。
また、その旨を周知しておく事が必要です。
5.患者ごとの薬歴の記録、薬学的管理、必要事項の記入、必要な指導
調剤に係る医薬品以外の医薬品に関する事も含め、患者ごとの薬剤服用歴の記録、必要な薬学的管理、必要事項の記入、それに基づき保管、取り扱い等について必要な指導を行っている必要があります。
6.平日は1日8時間以上の開局、土日いずれかに一定時間以上の開局、週45時間以上の開局
・祝日および1月2〜3日、12月29〜31日が含まれる週以外の週の開局時間で要件を満たすか否か判断する。
平日は8時間以上、さらに土日のいずれかは一定時間以上開局しておく必要があります。
7.管理薬剤師は以下の要件をすべて満たす
・週32時間以上勤務
・当該保険薬局に継続して1年以上在籍
8.在宅患者訪問薬剤管理指導の届出・体制整備・周知
地方厚生局に対して、在宅患者訪問薬剤管理指導を行う旨の届出を行い、在宅患者に対する薬学的管理指導が可能な体制を整え、薬局の見えやすい場所に周知しておく必要があります。
9.調剤従事者等の資質向上(定期的な研修の実施、学会への定期的な参加・発表)
調剤従事者の資質向上のため、研修実施計画を作成し、計画に基づき研修を実施する必要があります。
報告書の提出も必要です。
10.医薬品安全情報への対応(PMDAメディナビに登録)
医薬品医療機器情報発信サービス(PMDAメディナビ)ひ登録し、常に最新の医薬品情報の収集を行う必要があります。
11.医薬品情報の提供体制の確保
次に掲げる、当該薬局で調剤された医薬品に関する情報を随時提供できる体制を整えておく必要があります。
・一般名
・剤形
・規格
・内服薬にあっては製剤の特徴(普通製剤、腸溶性製剤、徐放性製剤など)
・緊急安全性情報、安全性速報
・医薬品・医療機器等安全性情報
・医薬品・医療機器等の回収情報
12.患者のプライバシーへの配慮(パーテーション等で区切られた独立したカウンターを有するなど)
会話のやりとりが他の患者さんに聞こえないようにパーテーション等で区切られた独立カウンターを有するなだお、プライバシーに配慮している必要があります。
また、患者さんが椅子などに座って話ができる事が望ましいともされています。
13.一般用医薬品(OTC)の販売
一般用医薬品の販売の際は、購入者の薬剤服用歴の記録に基づき情報提供を行い、必要に応じて医療機関へのアクセス確保なども行っておく必要があります。
14.地域住民の生活習慣の改善、疾病予防に資する取り組み
食生活、身体活動、こころの健康づくり、飲酒、喫煙など生活習慣全般に係る相談についても応需し、地域住民の生活習慣の改善、疾病予防に資する取り組みが必要となります。
15.健康相談または健康教室を行っている旨を薬局の内外に掲示・周知
健康相談や健康教室を行っている旨を見えやすい場所に掲示し、周知しておく必要があります。
16.医療材料および衛生材料の供給体制
医療材料および衛生材料(ガーゼ、絆創膏、マスクなど)を供給できる体制を有していること。
また、在宅患者訪問薬剤管理指導を行っている薬局は、医療機関から衛生材料の提供を指示されたら、原則として患者さんに供給を行う必要があります。
17.在宅療養の支援に係る診療所・病院・訪問看護ステーションとの円滑な連携
在宅療養の支援に係る診療所・病院・訪問看護ステーションと円滑な連携ができるように、あらかじめ患者さんより同意を得た場合、訪問薬剤管理指導の結果や、当該患者に対する必要な情報を医師または看護師に随時提供している必要があります。
18.ケアマネージャー・社会福祉士等の他の保健医療サービス・福祉サービスとの連携
当該地域において、他の保険医療サービス・福祉サービスとの連携が必要となります。
19.薬局機能情報提供制度において、「プレアボイド事例の把握・収集に関する取組の有無」を「有」として直近1年以内に報告していること
薬学的患者ケアを実施したことで患者さんの副作用等を回避や軽減した事例(プレアボイド)を都道府県に提出する必要があります。
つまり、薬局で発見したヒヤリハット事例(疑義照会例等)を報告する必要があります。
20.副作用報告に係る手順書を作成し、報告を実施する体制を構築
副作用に係る手順書を作成し提出する必要があります。
雛形は日本薬剤師会のホームページに用意されています。
21.処方箋集中率が85%超の場合は、後発医薬品の使用数量の割合が50%以上であること
届出時の直近3ヶ月間の実績として、特定の保険医療機関の集中率が85%超の場合は、後発医薬品の使用数量の割合が50%以上である必要があります。
22.前年3月1日から当年2月末日までの実績をもって施設基準の適合性を判断し、当年4月1日から翌年3月末日まで所定点数を算定できる
常勤薬剤師数は、前年12月1日から当年1月末日までの勤務状況に基づき算出
施設基準は、前年3月1日〜当年2月末日の実績で、当年4月1日〜翌年3月末まで算定できます。
常勤薬剤師数は、前年12月1日〜当年2月末日までの勤務状況を算出します。
いかがでしたでしょうか。
今回は地域支援体制加算の要件についてまとめました。
非常に厳しい要件となっています。
また、一つ一つの細かい内容について書いていくとキリがないため、今回は大まかな内容についてまとめさせてもらいました。
是非参考にしていただけたらと思います。