自家製剤加算について解説!
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自家製剤加算について

「半錠や粉砕などの調剤は行ったけど、自家製剤加算を算定していいかどうかいつもいまいちよくわからない・・・」

 

調剤する上で、必要に応じて半錠や粉砕などの調剤を行った場合には自家製剤加算が算定できます。
しかしながら、手を加えることで必ずしも算定できるわけではありません。

今回は、自家製剤加算について解説していきたいとおもいます。

 

自家製剤加算とは

自家製剤加算は、市販されている医薬品の剤形で対応できない時に、医師の指示に基づいて、容易に服用できるよう調剤上の特殊な技術工夫(安定剤、溶解補助剤、懸濁剤等必要と認められる添加剤の使用、ろ過、加温、滅菌等)を行った場合に算定できるとされています。

 

一般的に薬局では、医薬品を半錠にしたり粉砕したりする際に算定するケースが多いですが、主薬を溶解して点眼剤を無菌にする、主薬に基剤を加えて坐薬とするなどといった場合でも算定ができます。

 

点数は下記の通りです。ただし、予製剤の場合はそれぞれの点数の1/5に相当する点数となります。

内服薬、頓服薬

錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤又はエキス剤の内服薬 20点
錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤又はエキス剤の頓服薬 90点
液剤 45点

外用薬

錠剤、トローチ剤、軟・硬膏剤、パップ剤、リニメント剤、坐剤 90点
点眼剤、点鼻・点耳剤、浣腸剤 75点
液剤 45点

※内服薬の20点に関しては、投与日数が7またはその端数を増すごとに20点ずつ加算されます。
(例えば7日分であれば20点、14日分であれば40点、15日分であれば60点算定できます)

 

また、自家製剤加算は「1調剤につき」算定できるものです。
日数が異なる場合は別の調剤行為となり、それぞれ算定することができます。

 

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自家製剤加算を算定する際の基本的な考え方

自家製剤加算は基本的には、剤形が変わるような調剤をした場合や、錠剤を割線に沿って分割した場合に算定できます。

この際のポイントとしては、調剤した医薬品が薬価収載されていないことが条件となります。

つまり、半錠した医薬品の規格のものが市販されていたり、錠剤を粉砕しても市販でその散剤が売られていたりした際は算定する事ができません。

 

また、半錠に関しては割線があるかどうかもポイントとなってきます。

実は割線が無い場合は、半錠にして調剤しても算定する事ができません。
これは割線が無い錠剤に関しては、含量均一性が保証ができないため算定はできないとされています。ただし、粉砕した場合は含量が均一となるため算定できるとされています。

つまり割線に着目している理由は含量均一性であり、錠剤を粉砕して粉にしてしまえば含量の均一性が保たれるはずといった考え方です。

 

 

従って基本的な考え方としては、医薬品を市販に売られてない剤形・規格に調剤した場合(ただし含量均一性が保証されている場合のみ)に算定できると考えるとよろしいかと思います。

 

 

それでは実際に処方例を見ていきましょう。

処方例

半錠にするケース

処方例1

アムロジン錠5mg  0.5錠
朝食後  30日分

算定できない

 

アムロジン錠5mgには割線がありますが、2.5mgの規格のものが市販されているため算定することはできません。

 

ちなみに割線があるかどうかに関しては、添付文書「製剤の性状」の部分に記載されています。

アムロジン錠の例:

 

処方例2

ロキソニン錠60mg   0.5錠
頭痛時   5回分

算定できる

 

ロキソニン錠60mgには半分の規格は市販されていないため、この場合は自家製剤加算を算定する事ができます。

 

処方例3

ロキソニン錠60mg   0.5錠
頭痛時   5回分
※粉砕して調剤すること

算定できない

 

実際このような処方ケースはあまりありませんが、この場合は算定できません。
なぜなら、ロキソニンにはロキソニン細粒が市販されているため、散剤にすることで30mgを調剤することができるからです。

先程も述べた通り、あくまで市販されていない剤形・規格に調剤した場合に算定できる加算であるため、このケースでは算定することはできません。

 

 

処方例4

プレドニン錠5mg   0.5錠
朝食後    14日分

算定できない

 

プレドニン錠5mgには半分の規格が無いため自家製剤加算が算定できそうですが、他のメーカーでプレドニゾロン2.5mgというのが市販されているため、この場合算定できません。

 

また一つポイントとしては、半分の規格が無い先発品を半錠にしても、ジェネリックで半分の規格の医薬品が市販されていたら算定することはできません。

 

実は、同じような理由でレンドルミン錠0.25mgの半錠も、ブロチゾラム錠0.125mgという規格の薬が市販されていたため自家製剤加算が算定できなかったのですが、最近ブロチゾラム錠0.125mgが発売中止となったため、現在ではレンドルミン錠0.25mgを半錠した場合自家製剤加算が算定できるようになっています。

 

処方例5

メイラックス錠1mg   0.5錠
就寝前     30日分

算定してもよい

 

今回は少し曖昧な回答とさせていただきました。
ここでメイラックス錠1mgの添付文書を見てみましょう。

 

メイラックスの錠剤には割線が入っているように見えますが、実は添付文書上では割線が入っているという表記はないのです。
したがって、割線ではなくデザインという解釈になってしまい、ルール上では割線入りの錠剤では無いため算定する事ができません。

 

しかしながら実は厚生労働省によると、「フルイトランなど客観的に均一にできる根拠があれば(自家製剤加算を)算定可能」とされています。

上記のように、フルイトランの添付文書には割線という記載はありませんが、デザインとしては1/4錠を作ることも可能なデザインとなっています。

含量均一性が保たれる根拠があれば自家製剤加算の算定が可能という記載であるため、メイラックス錠1mgに関しても算定が可能という解釈にはなりますが、レセプト審査委員の判断によっては通らない可能性もあるようです。

 

処方例6

ブロプレス錠12mg   0.5錠
朝食後   30日分

算定できる

 

この場合は、ブロプレス錠6mgという規格は市販されていないため算定する事が可能です。

「ブロプレス錠4mgとブロプレス錠2mgを服用する事で6mgとなり、市販されていることから算定できないのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、あくまで半錠にした錠剤の規格のものが市販されているかどうかだけを考えれば大丈夫です。

 

処方例7

ワーファリン錠1mg  1.5錠
朝食後   30日分

算定できない

 

この場合は、ワーファリン錠0.5mgというのが市販されているため算定することはできません。
ワーファリン錠0.5mgとワーファリン錠1mgの市販されているものの組み合わせで1.5mgとすることができます。

 

先程のブロプレス2mgと4mgの組み合わせの話と少しややこしくなるかもしれませんが、何度も言うようにあくまで半錠にした錠剤の規格のものが市販されているものであれば算定することはできません。

 

 

散剤と液剤を混合するケース

処方例8

セフゾン細粒小児用10%   1g
ムコダインシロップ5%   6mL
毎食後    5日分
※混合すること

算定できる

 

これは、散剤だったものを液剤という剤形に変えて調剤しいるので自家製剤加算の算定が可能となります。

 

処方例9

ポララミンドライシロップ0.2%   1g
ムコダインシロップ5%   6mL
毎食後   5日分
※混合すること

算定できない

 

上の例とほぼ同じように感じますが、ドライシロップは元々水で溶かして服用するものという考え方で、散剤であってもドライシロップに関しては算定することはできないとされています。

しかしこの場合であれば、計量混合加算を算定することが可能です。

 

 

計量混合加算を含むケース

処方例10

酸化マグネシウム   2g
ミヤBM散   2g
寝る前   28日分

マイスリー錠5mg   0.5錠
寝る前   28日分

計量混合加算か、自家製剤加算かのいずれかを算定できる

 

上記例では、計量混合加算の対象となる調剤と、自家製剤加算の対象となる調剤が同一調剤にて要件が満たされています。しかしながら、自家製剤加算と計量混合加算を1調剤で両方算定することはできないとされています。どちらが優先という決まりはありませんが、点数の高い方を算定するのが一般的とされています。(上記例であれば、自家製剤加算を算定することになります。)

 

しかし、あくまで1調剤ごとに算定できるものであるため、もしマイスリーが30日分になっていれば異なる調剤となるため、計量混合加算と自家製剤加算の両方を算定する事ができます

 

計量混合加算については下記の記事をご覧ください。

 

1調剤や同一調剤などの定義がわかりづらい方は、もう一度「1調剤」の意味を見直してみてください。(この辺も今後記事でまとめる事ができればまとめていこうと思います)

 

 

一包化に半錠が含まれるケース

処方例11

ワーファリン錠0.5mg   0.5錠
朝食後    14日分
ベザトールSR錠200mg   2錠
朝夕食後   14日分
クレストール錠2.5mg   1錠
夕食後    14日分
※すべて一包化すること

一包化加算か、自家製剤加算のいずれかを算定できる

 

上記例では、ワーファリン錠0.5mgの半錠による自家製剤加算と、一包化による一包化加算が算定できます。一包化の中に自家製剤加算の薬が入っているときは、両方の算定はできませんのでいずれかを算定できます。これに関しても、どちらが優先というのはありませんが、点数の高い方を算定するのが一般的とされています。(上記例では、一包化加算を算定することになります。)

 

処方例12

マイスリー錠5mg   0.5錠
就寝前    14日分

ワーファリン錠0.5mg   1錠
朝食後    14日分
ベザトールSR錠200mg   2錠
朝夕食後   14日分
クレストール錠2.5mg   1錠
夕食後    14日分

※すべて一包化すること

一包化加算と自家製剤加算の両方が算定できる

 

上記例では、マイスリー錠5mg以外の部分が一包化加算の対象となります。従って、マイスリー錠5mgの自家製剤加算と一包化加算の両方が算定できます。

 

 

 

いかがでしたでしょうか。

今回は自家製剤加算についてまとめました。
自家製剤加算に関しては、地域によってレセプト審査が通る場合と通らない場合などがあるそうなので、それぞれ確認が必要となります。
また、割線の無い錠剤の半錠や錠剤の粉砕などに関しては、薬物動態および品質上問題無いことや、賦形剤の名称、分量等も含め製剤工程を調剤録に記録しておくことも大切です。

 

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