※注意
記載されているのは令和2年調剤報酬改定によるものです。
令和4年度版は現在作成中であるためしばらくお待ちください。
調剤基本料について解説!
「基本料ってどうやって決まっているのかいまいち分からない・・・。」
調剤基本料は薬局の体制によって決まる点数です。
この体制によって、処方箋1枚における点数が大きく変わります。
今回は、調剤基本料がどのように決められているのかを分かりやすく解説していこうと思います。
調剤基本料は、調剤報酬の中の「調剤技術料」の一つとして扱われます。
調剤報酬の大まかな概要としては下記の記事にて解説してます。
※今回の記事は令和2年調剤報酬改定についてまとめています。
調剤基本料とは?
調剤薬局であることによってもらえる点数です。
つまり薬局の体制による加算であり、患者さんが薬局でお薬をもらう際に必ず支払わなければならない料金となります。チャージ料金みたいに考えると分かりやすいでしょう。
基本料は薬局ごとに点数が変わります。これは、薬局の立地によって有利不利の差が出ないよう調整されています。
薬剤師会のホームページで公開されている令和2年度調剤報酬改定等に関する資料の調剤報酬点数表では、調剤基本料は以下のように記載されています。
調剤基本料
(処方箋一回につき)注1)妥結率50%以下などは▲50%で算定
注2)異なる保険医療機関の複数処方箋の同時受付、1枚目以外は▲20%で算定項目 要件、算定上限 点数 ①調剤基本料1 ②〜④以外、または医療資源の少ない地域に所在する保険薬局 42点 ②調剤基本料2 処方箋受付回数および集中率が、次のいずれかに該当する保険薬局
イ)月4,000回超 かつ 集中率70%
ロ)月2,000回超 かつ 集中率85%
ハ)月1,800回超 かつ 集中率95%
ニ)特定の保険医療機関に係る処方箋が月4,000回超
※1.保険薬局と同一建物内の保険医療機関は合算
※2.同一グループの他の保険薬局で集中率が最も高い保険医療機関が同一の場合は、当該処方箋受付回数を含む26点 ③調剤基本料3 同一グループの保険薬局の処方箋受付回数の合計が月3.5万回超 かつ 次のいずれかに該当する保険薬局
イ)集中率85%超(同一グループ 月4万回超、月40万回越)
ロ)集中率95%超(同一グループ 月3.5万回超〜4万回以下)
ハ)特定の保険医療機関と不動産の賃貸借関係あり同一グループの合計
月3.5万回超〜4万回以下 21点
月40万回超 16点④特別調剤基本料 次のいずれかに該当する保険薬局
イ)保険医療機関と特別な関係(敷地内) かつ 集中率70%超
ロ)調剤基本料に係る届出を行っていない。9点
色々条件などが分かりにくいかと思うので、一つ一つ解説していきたいと思います。今回は、この表が読めるようになる事が目標です!
調剤薬局に勤務している薬剤師さんであれば、自分の薬局の状況も想像しながら見ていくと良いかと思います!
調剤基本料
これは要するに④から①にかけて高い点数がもらえるということになります。
薬局は極力高い点数を取りたいので、考え方としては④から順に要件をクリアしていって最終的に①を取りたい訳です。
この考え方を踏まえた上で、今回は条件の優しい④から順に見ていきたいと思います!
④特別調剤基本料
イ)保険医療機関と特別な関係(敷地内) かつ 集中率70%超
ロ)調剤基本料に係る届出を行っていない。
イ)保険医療機関と特別な関係(敷地内) かつ 集中率70%超 (9点)
病院や診療所などの敷地内に建てられていて、集中率が70%を超える薬局です。
病院や診療所の敷地内にある薬局の場合、立地だけで処方箋が回ってくる薬局とみなされてしまい、国の方針である「かかりつけ薬剤師・薬局」のあり方とは違うため点数が低くついてしまいます。
ロ)調剤基本料に係る届出を行っていない。 (9点)
調剤基本料に係る届出が無い薬局です。
ここに該当しなければ次に進みます!
③調剤基本料3
同一グループの保険薬局の処方箋受付回数の合計が月3.5万回超 かつ 次のいずれかに該当する保険薬局
イ)集中率85%超(同一グループ 月4万回超、月40万回越)
ロ)集中率95%超(同一グループ 月3.5万回超〜4万回以下)
ハ)特定の保険医療機関と不動産の賃貸借関係あり
(点数)
同一グループの合計
月3.5万回超〜4万回以下 → 21点
月40万回超 → 16点
ここに該当するのはグループ薬局が多いと思います。ここでは、グループ全体で受付回数3.5万回を超える薬局が該当します。それ以下の薬局は次に進んで大丈夫です!
実はこの項目が私としてはすごく分かりづらかったため、順番に解説していきます。
同一グループの保険薬局の処方箋受付回数の合計が月3.5万回超
まずはグループ全体の1ヶ月の処方枚数を確認します。この項目は主にグループ薬局が該当します。
1店舗辺りのチェーン薬局が1ヶ月1000枚程度だとすると、30〜40店舗以上ある薬局はこの項目に当てはまるのでは無いでしょうか。
ここに該当する薬局は、以下の条件を確認する必要があります。
次のいずれかに該当
イ)集中率85%超(同一グループ 月4万回超、月40万回越)
ロ)集中率95%超(同一グループ 月3.5万回超〜4万回以下)
ハ)特定の保険医療機関と不動産の賃貸借関係あり
同一グループの合計
月3.5万回超〜4万回以下 21点
月40万回超 16点
ここが非常に分かりづらいです。
それぞれ点数が違うので細かく設定されていますが、グラフを用いて説明すると以下のようになります。
少しイメージしやすくなりましたでしょうか?
文章で説明するよりも上記グラフを見ていただいた方が分かりやすいと思います。
つまり受付回数3.5万回を超える薬局であれば、集中率によって21点か16点どちらに該当するかを確認する必要があります。
ただし(ハ)の項目にあるように、特定の保険医療機関との不動産の賃貸借関係がある場合は、集中率に関係なくこの項目に該当します。受付回数40万回以下であれば21点、それ以上であれば16点となります。
ここに該当しなければ次に進みます!
②調剤基本料2
イ)月4,000回超 かつ 集中率70%
ロ)月2,000回超 かつ 集中率85%
ハ)月1,800回超 かつ 集中率95%
ニ)特定の保険医療機関に係る処方箋が月4,000回超
※1.保険薬局と同一建物内の保険医療機関は合算
※2.同一グループの他の保険薬局で集中率が最も高い保険医療機関が同一の場合は、当該処方箋受付回数を含む
ここでも処方箋の受付回数と集中率を見る必要があります。
ここでは、1ヶ月の受付回数が1800回を超える薬局が該当します。
気を付けたいのは今回はグループ全体ではなく薬局ごとの受付回数です。
イ)月4,000回超 かつ 集中率70%
ロ)月2,000回超 かつ 集中率85%
ハ)月1,800回超 かつ 集中率95%
この項目も文章で見るよりグラフを用いた方が分かりやすいと思うので作成しました。
今回も、受付回数と集中率を確認する必要があります。
受付回数が多くなるにつれ、条件が厳しくなっていってるのが分かります。
ただし、ここに該当していなくても下記の項目に該当していないかも確認しなくてはなりません。
ニ)特定の保険医療機関に係る処方箋が月4,000回超
ここも少し分かりづらいので解説します。
※1.保険薬局と同一建物内の保険医療機関は合算
この項目は主に医療モールなどが該当します。
同じ建物内のクリニックは合算した受付回数が4,000回を超えるとこの項目に該当します。
例えば、同じ建物内にAクリニック、Bクリニック、Cクリニック、Dクリニックがあれば、4つのクリニック全てを合算する必要があります。合算して4,000回を超えていれば、集中率に関係なくこの項目に該当することになります。
※2.同一グループの他の保険薬局で集中率が最も高い保険医療機関が同一の場合は、当該処方箋受付回数を含む
この項目は、一つの病院の前に同じグループ薬局が2店舗以上ある場合に該当します。
例えば、A病院の前にX薬局とY薬局が建っており、この二つの薬局が同じグループの薬局だったとします。そしてどちらの薬局も最も集中率の高い病院がA病院だった場合、X薬局とY薬局の二つ合わせて受付回数が4,000回を超えていれば、この項目に該当するということになります。
①調剤基本料1
これまでの項目に該当しなかった薬局が一番点数の高い調剤基本料1を算定することができます。
ただし、医療資源の少ない地域(厚生労働省により定められています)は、②〜④に該当していても調剤基本料1を算定する事ができます。
いかがでしたでしょうか。
国の方針としては、「かかりつけ薬剤師・かかりつけ薬局」としての薬局あり方が求められてます。つまり患者さんの服薬状況を1つの薬局で一元管理できるような体制が求められているため、1つの病院ばかりから処方箋が回ってくるような薬局はどんどん厳しくなっていってます。
また、好立地にある薬局は処方箋が回って来やすいため利益になりやすい傾向があります。好立地な場所に薬局を建てる事ができるのは資金力のあるグループ薬局が多いため、グループ薬局に厳しい条件を与える事で医療費を下げるといった国の方針にもなってます。
これまでの内容を踏まえて、皆さんの勤めている薬局がどの要件に当てはまるかを是非考えて見てください。